乳幼児突然死症候群について知っておくべきこと

2023年11月15日

みなさんこんにちは!静岡県富士市にある小児科、かわむらこどもクリニックです。

11月は乳幼児突然死症候群の対策強化月間です。 この期間中は、乳幼児突然死症候群の予防や早期発見に関する啓発活動や教育プログラムが行われます。ぜひ、この機会に乳幼児突然死症候群について学んでみてください。

乳幼児突然死症候群とは何か?
乳幼児突然死症候群(SIDS: Sudden Infant Death Syndrome)とは、1歳未満の健康な乳幼児が睡眠中に突然死亡する現象のことです。原因は不明ですが、乳幼児の脳や呼吸器の発達不足、母親の喫煙や妊娠中の栄養不足、乳幼児の寝かせ方や寝具などの環境要因が関係していると考えられています。乳幼児突然死症候群は世界中で約10万人の乳幼児が毎年亡くなっていると推定されており、日本では約100人の乳幼児が毎年この症候群で死亡しています。

乳幼児突然死症候群の予防法はあるか?
乳幼児突然死症候群の原因が不明なため、完全に予防することはできませんが、以下のような対策をとることでリスクを低減することができます。

・母親は妊娠中と授乳中に喫煙しないこと。
喫煙は乳幼児の呼吸器や脳の発達に悪影響を与え、乳幼児突然死症候群のリスクを高めます。また、受動喫煙も同様に危険ですので、乳幼児の周りでは喫煙しないでください。

・乳幼児は仰向けに寝かせること。
仰向けに寝かせると、乳幼児の顔が寝具に埋もれて呼吸が困難になることを防ぐことができます。また、仰向けに寝かせると、乳幼児の体温調節がしやすくなります。ただし、仰向けに寝かせると、頭の形が平らになることがありますので、日中は乳幼児の頭の位置を変えたり、抱っこしたりすることで対処してください。

・乳幼児の寝具は柔らかすぎないものを選ぶこと。
柔らかすぎる寝具は、乳幼児の顔が埋もれたり、二酸化炭素が溜まったりすることで呼吸が困難になる可能性があります。また、毛布や枕、ぬいぐるみなどの余分なものは寝具から取り除いてください。乳幼児の寝具は、マットレスやシーツ、寝袋などのシンプルなものがおすすめです。

・ベッドと壁の間にすき間を作らないこと。
ベッドと壁の間に挟まると窒息する危険があるので、すき間は絶対に作らないようにしましょう。わずかなすき間でも窒息の危険性があります。

・乳幼児はできるだけ母乳で育てること。
母乳は乳幼児の免疫力や呼吸器の発達に良い影響を与え、乳幼児突然死症候群のリスクを低減することができます。母乳で育てることができない場合は、ミルクで育てることも可能です。

・乳幼児は定期的に小児科で健診を受けること。
乳幼児は成長が早く、体調の変化も激しいため、定期的に小児科で健診を受けることが大切です。健診では、乳幼児の体重や身長、頭囲などの発達や、聴力や視力などの機能、予防接種などの状況をチェックします。また、乳幼児の健康に関する相談や悩みなども気軽に医師に話してください。

乳幼児突然死症候群は、予期せぬ悲劇です。しかし、完全に無力ではありません。上記のような対策をとることで、乳幼児の健康と安全を守ることができます。乳幼児の成長を楽しみながら、親子で幸せな時間を過ごしてください。