ネオジム磁石製のマグネットセットにご注意ください

2023年11月27日

みなさんこんにちは!静岡県富士市にある小児科、かわむらこどもクリニックです。

今日は、最近話題になっているおもちゃ、ネオジム磁石製のマグネットセット、マグネットボールについてお話ししたいと思います。

マグネットボールとは、直径約5mmの強力な磁石をたくさんつなげて、様々な形に変えられるおもちゃです。色も豊富で、キューブや球、動物や文字など、自由に作ることができます。

このマグネットボールは、見た目もかわいくて、大人も子どもも楽しめるおもちゃですが、実はとても危険なものなのです。消費者庁からは、このマグネットボールに関する注意喚起が何度も出されています。

なぜ危険なのかというと、小さい子が間違って飲んでしまうと、重大な事故につながる可能性があるからです。実際に、2017年から2021年の間に、マグネットボールを誤飲したことによる事故は、少なくとも10件報告されています。

多くの事故は、年上の兄や姉向けに買ったマグネットボールを、親が気づかないうちに1歳から7歳の弟や妹が口に入れてしまったというケースです。小さい子は、色とりどりのマグネットボールをお菓子やビーズだと思って、食べてしまうことがあります。

しかし、このマグネットボールは、飲んでしまうと、胃や腸の中で大変なことになります。マグネットボールは、一つ一つがとても強い磁力を持っているので、胃と小腸など、異なる場所に飲み込まれた球が、腸管を挟んで引き合ってしまいます。その結果、胃や小腸、十二指腸などの臓器に穴が開いたり、腸がねじれたり、壊死したりする恐ろしい事故が起こります。

このような事故になると、除去するのに開腹手術が必要になることが多く、命に関わることもあります。また、事故が起こった後に、マグネットボールを飲んだことに気づくのが遅れると、症状が悪化する可能性もあります。そのため、マグネットボールを飲んでしまった場合、もしくはその疑いがある場合は、すぐに医療機関に受診してください。

マグネットボールは、小さい子の手に渡らないように、確実な管理をお願いいたします。また、マグネットボールを使って遊ぶ場合は、必ず大人の目の届くところで、注意して遊んでください。マグネットボールは、おもちゃではなく、危険物として扱ってください。

令和5年5月16日に、「消費生活用製品安全法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。この政令は、消費生活用製品安全法の特定製品に新たに磁石製娯楽用品と吸水性合成樹脂製玩具を指定し、技術基準に適合しない製品の販売を規制するものです。これにより、強力な磁力を有する複数個の磁石を組み合わせて使用するいわゆるマグネットセットや水を吸収することで大きく膨らむ吸水性の玩具は、販売できなくなります。

この政令は、6月19日から施行されましたので、マグネットボールや水で膨らむボールが販売されている場合は、違法な販売である可能性が高いです。購入しないようにお願いします。また、既に購入された方は、乳幼児に触らせないように十分に注意してください。

かわむらこどもクリニックでは、レントゲン装置がありますので、間違って飲んだかどうか、すぐにハッキリさせることができます。お気軽にお問い合わせください。

以上、マグネットボールにご注意くださいというお話でした。みなさんの健康と安全をお祈りしています。それでは、またお会いしましょう。さようなら!