添い乳の危険性について

2022年6月9日

みなさんこんにちは!静岡県富士市にある小児科、かわむらこどもクリニックです。

横になった状態で授乳するいわゆる“添い乳”をしている時に、赤ちゃんが窒息死することがあります。

添い乳をするとき母親は、体を赤ちゃんのほうに向けて横向きに寝そべり、赤ちゃんの頭を胸に抱きよせて授乳します。
このとき、母親の体は赤ちゃん側に少し傾いた状態になっています。
このまま眠ってしまうと、体が赤ちゃんにのしかかる形になります。
その際、赤ちゃんがまだお乳を飲んでいたり、顔を母親のほうに向けていたりすると、鼻や口が母親の体でふさがれ、息ができなくなってしまいます。
赤ちゃんが苦しくて顔を離そうとしても、大人の体重がかかれば身動きはとれません。
わずか数分で命を落とす危険性があるといいます。

2016年に消費者庁が行った分析では、全国で過去5年間に、0歳児が寝ている時に窒息して亡くなる事故は160件。
不慮の事故による死亡例全体の32%と最多でした。

一方、添い乳にはメリットがあるというのもわかります。
・添い乳をすると、赤ちゃんがよく寝てくれるので楽
・授乳を数時間おきにする必要があり睡眠不足になるが、添い乳をすれば自分も寝られる
・親子のスキンシップになり、愛着がわく

ですが、添い寝の事故を防ぐために
・ベビーベッドを利用して、赤ちゃんを一人で寝かせる
・ミルクで育児をしている場合には、夜間の授乳はパートナーに代わってもらう

子どもと一緒に横になる場合には
・疲れているときに授乳をしない
・家族にもリスクを知らせ、定期的な見守りと母親が眠ってしまった場合の声掛けを徹底する
・眠気を催す薬を飲んだ後は、一緒に横にならない

寝具による窒息も起きていることから
・柔らかい布団やマットはうずもれて窒息するおそれがあるので、かたいものを使う
・大人の掛け布団は重いので、子ども用の軽い布団を使う

ぜひ家族全員でリスクを共有し、事故が起きないように気をつけてください。